OMORIを考察
目次
前置き
OMORIの謎をいろいろ考えてみた
OMORIの考察を書いていきます。オモリは何者なのか、ヘッドスペースはどんな世界なのかなど、わからないことが多くあります。サニーの幻覚なのか本物なのかわからないシーンもあり、どう捉えるかはプレイヤーに任せられている部分もあります。
以下で書く考察は一個人の考えとして読んでもらえるとありがたいです。
考察
サニーにとってオモリは理想の人格
罪を犯したサニーにとってオモリは理想の(都合のいい)人格なのではないか。とサニールート、オモリルートの両方をプレイしてそう思いました。
サニーはマリを殺して偽装した罪にずっと苦しんでいました。そんなサニーの前にオモリは立ちはだかり、サニーのことを非難します。
オモリは社会的で常識ある言葉を次々に述べて、サニーを追い詰めます。やがて苦しみに耐えられなくったサニーは消滅し、オモリだけが残ります。
この消滅はサニーがオモリの人格を演じ始めたことを示していると思います。
「自分の罪に向き合えないサニーのために、良識ある自分がサニーの代わりになろう。」と理想の人格を演じることで心を保とうとする。
病院のベランダから飛び降りたりナイフで自殺したりするのは、サニーの人生を終わらせてあげようとオモリになりきっての行動だと思います。
オモリルートで母親の車に乗ってハルバル町を去るエンディングがあります。今後サニーはオモリを演じ続けて生きていくのだろうと思います。
オモリルートのあと1日のときに自宅の鏡を見ると、サニーではなくオモリが映っています。これは「自分はオモリだ。」と自己暗示しているのを表していると思いました。
ヘッドスペースは魂と空想が入り混じる世界
オモリが行動する世界はホワイトスペース、ヘッドスペース、ブラックスペースの3つあります。
ストーリーを見てみると、ホワイトスペースはサニーが思い出したくない記憶を封じこめた世界です。
ブラックスペースは抽象的だったり生き物を殺したりする空間が多いので、サニーの潜在意識を表している世界だと思います。
ヘッドスペースはサニーの空想で作られた世界のように見えますが、魂が存在する世界でもあると思います。
スペースボーイ船長やスイートハートなどのエネミーは、おそらく現実世界の創作物をサニーが参考にして生まれた存在です。
しかしすべてのエネミーがサニーの空想から生まれたわけではなさそうです。まだサニーと面識のないヤンキーたち(キムやヴァンスなど)が、プロローグのときから森の遊び場で遊んでいます。
ハルバル町に来たばかりのショーンとレンも遊び場にいるため、サニーの空想とは関係のない存在がヘッドスペースにいることを示しています。
ハンフリークリア後の赤い湖にいる???はマリや友達の魂について話します。???の言葉通りヘッドスペースは魂がある世界だとするなら、ヤンキーたちやショーンとレンは森の遊び場に魂として存在しているのだと思います。
本編をプレイしていると、ヘッドスペースにいるマリや友達はサニーにとって都合のいい空想の人物のように思えます。しかし???の発言が真実なら、実際は本人の魂なのかもしれません。
マリは自分を階段から突き落としたサニーを非難するどころか、自分を許してあげられるよね、とやさしく導いています。
サニーが求めていることを空想のマリに言わせているのではなく、マリ本人が本当にそう思って言っているのだと思います。
サニールートの終盤、ステージの裏側でヒロたちがサニーの罪に理解を示すのも、ヒロたちの本心なんだと思います。
どこまでがサニーの空想なのかハッキリとしていませんが、ヘッドスペースは空想と魂が入り混じった世界ではないかと思いました。
写真を塗りつぶした人とキレイにした人はだれ?
写真を塗りつぶしたのはサニーで、キレイにしたのはオーブリーだと思います。
バジルが大切な写真を塗りつぶしていたからいじめた、とオーブリーはケル、ヒロ、サニーに打ち明けていました。
悪いことをしたと自分を責めるオーブリーにケルとヒロは寄り添いますが、サニーだけ後ずさります。自分のやったことがまさかこんな事態になっていたなんて、と思って後ずさったのだと思います。
サニールートのあと1日のとき、バジルの部屋で過去の話をするシーンで、バジルは写真をめちゃくちゃにされたのをなにかのせいにしていました。
なにかのせいでサニーがやったことではないと話すバジルを見たとき、疑問に感じました。バジルは自分で写真をめちゃくちゃにしたのに、遠回しにサニーのせいにしてる?と。
しかしサニーはカッとなってマリを突き落とした過去があります。そのことを踏まえると、マリが亡くなったあとどこかのタイミングでサニーがバジルのアルバムを塗りつぶしたのだと思います。
マリと友達のことなんてどうでもいいと考えたサニーは、ザワザワする心のままマジックで写真を塗りつぶす。バジルはただそれを見ていただけ。めちゃくちゃにされたアルバムをバジルは捨てられずそのまま本棚にしまう。しかし後日オーブリーにアルバムを見られてしまう。
オーブリーはバジルからアルバムを奪ったあと、がんばってマジックを落としたのだと思います。
オーブリーがサニーやバジルのように幻覚が見えている描写はないため、それ以外に元に戻す方法がないと思います。
ただマジックの跡がまったく残らない状態にまで戻すことはできるのだろうか、という疑問は残ります。
「おもちゃ箱の中のもの忘れないで」はだれが書いたのか
おそらくサニーです。事件の証拠にもなるバイオリンと楽譜をおもちゃ箱にしまったままにしていたのは、いつか告白するつもりだったからではないでしょうか。
本当に事件をなかったことにしたいなら、バイオリンと楽譜を燃やすなり埋めるなりして証拠隠滅ができたはずです。
マリが亡くなって誰も来なくなったツリーハウスに、サニーが時折来ていた描写があります。1人トースターでパンを焼きながら、みんなが映った写真を見て楽しかったころを思い出していたのだと思います。
仮に自分が自殺してもだれかがこの写真を見つけておもちゃ箱を開けてくれるかもしれない、と遺書の代わりとしてもこのメッセージを残したのではないかと思いました。
真実を打ち明けても友達でいられるか
ムリじゃないか。とサニールートをはじめてクリアしたときはそう思っていました。しかし何周もプレイしているうちに、意外と友達のままでいられそうだと考えが変わりました。
ケルは誰だって間違いはあると言って、サニーとバジルをすぐに許しそうです。
ヒロは真実を打ち明けられた直後は動揺するも、サニーとバジルに詳しく事情を聞いて親や警察にも話すよう説得しそうです。
その後、ヒロはマリを殺したサニー、共犯者のバジルとどう接していくのか自問自答をして苦しむと思います。サニーに憎悪を抱くもマリはそんなことを望んでいないと考えを改めて、今まで通りに接しようとする。
マリの代わりとなって2人がまた道を踏み外さないようにしないといけない、と使命感を抱きそうです。友達というよりマリのためにサニー、バジルと接するのではないでしょうか。縁は切らないと思います。
マリが亡くなってふさぎ込んでいた時期に、ヒロがケルに大声で怒鳴ったのは結果的に良かったと思います。もし発散しないまま真実を打ち明けられていたら、本編のホラーよりも怖い展開がサニーを待ち受けていたと思うからです。
オーブリーはサニーは許して、バジルとは縁を切りそうな予感がします。
オーブリーも泳げないバジルを湖に突き落としたことがあるので、サニーを許すと思います。大切なマリを失ったとはいえ、時間の経過とともにサニーとの関係は修復すると思います。(好きではなくなるかも)
ただしバジルは許さない。自殺を装ったのはマリとサニーを苦しませただけ、と非難しそうです。
今後オーブリーはヤンキーの友達を優先し、サニーたちとはたまに交流する程度になる気がします。オーブリーがバジルと仲良くするイメージがあまりわかない。
ということで完全とはいかないまでも、サニーたちは友達のままでいられるんじゃないかと思いました。
サニールート終盤、演奏ステージの裏側でヒロは「俺たちのことを信じてほしい。」と言っていました。もしこのセリフが本人の意思であるなら、本当に元の友達に戻れると思います。
ニャーゴはサニーに殺された?
サニーが幼いころニャーゴは飼い猫としてサニーの家にいました。しかしマリが亡くなったのを境にいなくなっています。
サニールートの終盤、自宅のピアノ室にマリとニャーゴがいますが、サニーの幻覚なのか魂なのかわかりません。
ニャーゴは普段ホワイトスペースにいて人間の言葉をしゃべります。ストーリーを進めていくと、ニャーゴはブラックスペースでオモリに殺される、あるいは殺されかけます。
ニャーゴに関する情報がこれぐらいしかなく、サニーの幻覚もあって情報が不明瞭です。ブラックスペースで切り開くシーンを見たあとだと、ニャーゴはひどい目にあったのかと想像してしまいます。
ハルバル町はネコが多いので、ニャーゴはサニーの家から逃げたのだと思いたいです。
OMORIはサイレントヒルに似ている
OMORIはサイレントヒル2に似ているとプレイしていて思いました。似ている点を書きます。
- 大切な人を殺して現実逃避する主人公 サニー/ジェイムス
- 主人公にとって理想の相手 マリ/マリア
- 自分を裁いてくれる存在 オモリ/三角頭
- 同じように罪を犯して幻覚に苦しむ人 バジル/アンジェラやエディー
- 自分の精神が具現化した世界 ヘッドスペース/サイレントヒル
- 自分の精神から生まれた敵 エネミー/クリーチャー
- 2つの世界を行き来する ホワイトスペースと現実世界/表世界と裏世界
- 溜めてた鬱屈から相手を死なせてしまう サニーとマリ/ジェイムスとメアリー
- 現実を受け入れるかでエンディングが変わる
主人公の幻覚なのか本人の魂なのかわかりにくいのもサイレントヒルに似ています。死んだはずのメアリーがジェイムスに語りかけるシーンと、マリがサニーに語りかけるシーンが重なって見えます。
ブラックキーを集めているときにオモリがビデオテープを取るシーンは、ジェイムスがホテルでテープを再生して過去を思い出そうとしている部分に似ています。
サニーの自宅が不気味な空間となって高いところやクモのなにかと戦うシーンは、サイレントヒルの裏世界に突入する演出と似ています。
OMORIはゆめにっきに似ているとよく言われますが、サイレントヒル2にも強く影響を受けているのではないでしょうか。アンダーテールの原型がMOONであるように、OMORIの原型はサイレントヒル2なのではないかと思いました。
2つのゲームを比較してるとき、サニーが飛び降りたりナイフで自殺したりするのはマリに会いたいという思いもあったのかな、とふと思いました。
考察のメモ
以下はいろんな方の考察を読んで、なるほどと思ったもののメモ書きです。
- サニーの両親には犯行がバレている。マリの死をきっかけに2人は離婚して父親は出ていった。
- 警察はサニーの犯行は未成年がやったことだから公にしないようにした。
- マリはひざが悪いから幼かったサニーでもマリを階段から突き落とせた。
- バジルが見えているなにかは、マリが階段で倒れたときの姿が元になっている。