OMORI スケッチブックの絵について考察

ホワイトスペース、ブラックスペースに置かれているスケッチブックについて考察してみました。

 

ホワイトスペース

表紙

表紙の絵は黒い涙を流し、みじめな思いをしている顔だと思います。紙の真ん中にポツンと小さく描かれており、これはサニー自身を描いたのではないでしょうか。

マリを死なせてしまい、首吊りに見せかけたという事実が自分を苦しめる。それなら記憶を封じ込めてしまおう。自分を苦しめる事実なんてなかったことにしよう。

そうして生まれたホワイトスペースの真ん中にポツンといる自分。こんなことしたって意味ないのに。僕は何をやっているんだろう。という思いがこの1枚に描かれているように思いました。

1-2ページ目

表紙の絵とはまるで別人で、顔がハッキリと描かれています。中心にいる少年(おそらくサニー)から赤い手が伸び、目玉、鉈のようなもの、黒いネコ、ヘビと思われるもので囲まれています。

よく見ると少年の頭から血が出ています。これはマリが階段から落ちたときの出血を表してるのかもしれない。

この絵はマリが死んだあとのサニーの思考を表していると思います。

赤い手はサニーが罪を犯したことを示す血塗られた手で、目玉はトラウマにもなったマリがこちらを見つめる視線。鉈(カミソリ?)は自殺をするための刃物、黒いネコはニャーゴを指していると思います。ヘビが何を表しているのかはわからない。触手にも見える。

少年の位置に近いものほどよく思考するものを示していると思います。出血、視線、赤い手という過去のトラウマを頻繁に思い出しては苦しむ。苦しみから逃れるために自殺用の刃物が欲しい。でも死ねないからそばにいてくれる存在が欲しい。それが黒いネコであるニャーゴ。

少年の顔が笑っているのは自棄によるものだと思います。苦しみからどうやっても逃れられないのなら笑うしかない、と。

左のページに何も描かれていないのは何か意味があるのだろうか。ブラックスペースのほうでも何も描かれていません。

3-4ページ目

左側は象形文字のように絵がびっしりと並んでいます。×マークを間に挟みながら、パズルのピースや紙飛行機、ボウリングのピン、イス、クマ、惑星など色んな絵が描かれています。

これらのほとんどがヘッドスペースに登場しているので、サニーの好きなもの、思い出に残っているものを表していると思います。牛乳パックはケル、ウサギと野球ボールはオーブリー、スイカは夏に友だちと食べた思い出を指していると思います。目と触手があるのが少し気になる。

右側はたくさんのネコと空に浮く黒いネコが描かれています。黒いネコはおそらくニャーゴで、下にいるネコたちはその他大勢のネコ。(ハルバル町の野良猫たち?)

数あるネコの中からサニーに選ばれたのがニャーゴ。ニャーゴは特別なんだ、という思いが表れている気がします。もしかしたらニャーゴの犠牲を表している絵でもあるかも。ネコたちの目が赤いのは泣いているためで、血の雨や川はニャーゴの血なのかもしれない。

5-6ページ目

左の絵がスケッチブックの中で最も抽象的で、何を表しているのかむずかしい。赤い雨のようなものは中に黒い点があることから、スイカのようにも見える。目のついた丸い物体がいくつも漂っており、こちらを見つめている。

このページの絵は利き手とは反対の手で描いたかのような雑な印象を受けます。たくさんの視線を感じると恐怖で頭がボーっとすることを表しているのかもしれません。

右ではお風呂に浸かりながら本を読んでいるオモリが描かれています。バスタブに置かれているのはノートパソコン?

オモリの服が干されていますが、なぜかブラまであります。女になりたい、あるいはマリになりたいという思いがあるのでしょうか。マリに一番容姿が近いのは弟である自分。マリはいなくなってしまったけど、自分がマリになれば姿だけでも会える、と思いついたのかも。

ハンフリーでメデューサからミステリーポーションがもらえるのは、マリになりたいという思いがあるからかもしれません。

7-8ページ目

左はヘッドスペースの探検を表していると思います。オーブリー、ケル、ヒロを連れて一番上のイセカイから、一番下のオクブカ井戸まで冒険するのをイメージしていると思います。ワクワクしながら描いていたのではないでしょうか。

真ん中のクラゲのようなものはオクブカ井戸で見かけるし、下の赤い川にはハンフリーのような顔がいくつもあります。

右の絵はサニーが机にうなだれており、ニャーゴと思われる黒いネコが赤色でぐちゃぐちゃにされています。

これはニャーゴがサニーの家から逃げたことを表していると思います。孤独なサニーを支えるのが嫌になったニャーゴが家を出て、いつまで待っても帰ってこないことにショックを受けている。サニーがカッとなってニャーゴを殺してしまった、というものではないと思いたい。

9-10ページ目

左の絵ではケーキの中から目玉が出ています。スケッチブックの中でも特にグロテスクな絵だと思います。ケーキというやさしいものから、眼球が溢れ出るのはこわい。

赤いフォークが刺さっている部分が黒くにじんでいます。まるで刺さった痛みでケーキの中から目玉が飛び出たかのようです。

ヘッドスペースというやさしい世界を刺激すると、なにかやなにかに似た???が現れることを指しているのかもしれません。

見た目はキラキラで甘いものに包まれているけど、中はどうしようもなく醜いものが詰まっていることを表している絵だと思いました。

右はすべり台や飛んで遊ぶためのマス目といった遊具が描かれています。星マークのボールはテザーボール?バナナもあることから森の遊び場を思い出します。

この絵からは7才くらいの子どもが描いた印象を受けます。いま遊びたいこと、食べたいものをひたすら絵にしている。ステーキが食べたいから肉をたくさん描いたのかな。右下のアルファベットでpあたりから読めなくなるのは途中で飽きたからだと思います。

すべり台の血、マス目の視線、赤色でぐるぐるに塗られた複数の手は、思考が退行してもトラウマだけは忘れられないことを指しているように見えます。出血、マリの視線、赤い手だけはどうやっても思い出してしまう、と。

11-12ページ目

左は熱で寝込んでいるサニーを看病する人型のネコが描かれています。この黒いネコはブラックスペースで「ニャーゴは悪い子ですね。」と言っていた執事に似ています。右手に持っているものは時計?

この絵はサニーとニャーゴの関係を表しているように思います。精神的に病んでいるサニーを執事のように支えるニャーゴ。家からいなくなるまでは献身的にサニーを支えていたのだろうと思います。

ベッドに赤い手が描かれているのはトラウマに苦しんでいるのを表しているのかも。たくさんの赤い点は目?視線だろうか。絵の上のほうでペンを適当にいじくって描いたかのような赤と黒の線も気になります。

右の絵では電球のようなものがいくつもぶら下がっています。白が3つ、赤と黒が1つずつあります。黒い電球はホワイトスペースにあるものを思い出します。

サニーの思い出したくない真実を封じていたのが黒い電球でした。それなら赤い電球は出血のトラウマを封じたもの、白い電球は視線という恐怖を封じたものだと思います。

すべての電球に目が描かれているのはそれだけ思い出したくない、封じ込めたいという思いがありそうです。

小さく描かれた赤い手はトラウマの度合いを示しているのだろうか。最初は怖かったけど、だんだん慣れて平気になった、とか?

13-14ページ目

肉が食べたいという欲求のみで描いた絵だと思います。精神が安定しているときに、ふと肉が食べたくなって描いた絵のように見える。

ここから白紙が続くのは自分のトラウマをすぐ見なくていいように、間隔を開けているのだと思います。

15-16ページ目

真っ白なページ。自分のトラウマを絵で再現しようと心の準備をしているように見えます。

17-18ページ目

右に描かれているのがサニーにとって最も恐ろしい存在、なにか。首を吊ったマリが元になっています。

描いたあと絵をぐしゃぐしゃにしたり、捨てたりしていないのは現実に向き合おうとしているからだと思います。

スケッチブックの最後のページがこの絵なのは、最終的に自分がしなければいけないことが何なのかを分かっている。

みじめな自分、ニャーゴとの思い出、友だちとの探検、トラウマを消したい気持ちなど一通り描きたいものを描いて、すべての原因であるマリの死を最後に描く。

マリの死に向き合わないとずっとこのままだとサニーが認識したとき、OMORIという物語が始まるのかなと思いました。

ブラックスペース

表紙

表紙が黒くなっています。ブラックスペースという真っ暗な空間にサニーがポツンといるのを表しているかのようです。

1-2ページ目

左側は赤いだけで特に変化はなし。

右側ではいくつもの手が少年に向かっています。これはスキル「めまい」のモーションに似ています。めまいは高所のなにかをたおしたときに習得できるスキルです。

高所に関するものが描き足されていることから、やはりこの絵はマリを死なせたあとのサニーの思考を表していると思います。マリを階段から突き落として死なせてしまったトラウマがこの1枚に表れている。

最初この手を見たとき、スキルの「赤い手」だと思いました。裁かれたいという欲求が表れてるのかなと思いましたが、めまいのほうが形が似ているのと、このあとのスケッチブックの内容を見るとどうも違いそうです。

3-4ページ目

左側の文字で変わっているところはおそらくなく、右では黒いネコにナイフが刺さっています。

これはニャーゴへの憎しみ、殺意が表れていると思います。自分から離れたことをサニーは恨んでいる。ブラックスペースに切り開く空間があるのもおそらく憎しみによるもの。執事の「ニャーゴは悪い子ですね。」というセリフは、サニーの心情を指していると思います。

5-6ページ目

左と右どちらのページも溺れて苦しんでいるのを表していると思います。抽象的だった左の絵は水中でゴボゴボと溺れているように見えます。うっすらと描き足されているのは気泡で、息ができなくて苦しんでいる。

右のオモリはお風呂に沈んで溺れているように見えます。実際オモリルートを進めてサニーがお風呂に潜ったとき、水中のなにかと戦います。

2ページ目に高所のトラウマが描かれているように、5,6ページ目は水中のトラウマが描かれているのではないかと思いました。

7-8ページ目

左の友だちとの冒険の絵に変化はなく、右のサニーがうなだれている絵にクモのなにかが描き足されています。

赤で塗り潰された黒いネコの上にクモのなにかが描かれているのは、ニャーゴがいなくなって家でクモが見つかるようになったことを表しているのかも。

高所、水中と同じくらいサニーが苦手とするのがクモです。ニャーゴがクモを食べているのを見てドン引きした絵かな、なんて思ったりしたけど、ニャーゴ失踪後にクモを見るようになってサニーが苦しんでいる絵なのかもしれません。

9-10ページ目

左のケーキに変化はなく、右のマス目のところに誰かが描き足されています。髪は長く笑っているように見える。オーブリーかマリ?マリの女装をして笑ってるサニーとかでもないと思う。

マスに描かれた目の上にいることから、マリのような気がします。視線の正体はマリだよと、思考が退行している自分に伝えたいのかもしれない。

11-12ページ目

左のネコが看病している絵に、ブラックスペース2にいるくちばしの長い生物が描かれています。

あの生物の正体はニャーゴのなれの果て、と言いたいのだろうか。もしくはニャーゴの抱える不満、思いが実体化した姿とか。

右の電球がぶら下がっている絵には、錠前や右手が描き足されています。写真の裏にテープで張り付けたカギもうっすらと描かれています。

やはりこの絵は封じこめたいものを表していると思います。事故の始まりであるバイオリンと楽譜が入った宝箱のカギと、宝箱についていると思われる錠前が描き足されているのは思い出したくないものを指している。

右手は高所のなにかがサニーを襲うときの手と同じに見えます。封じ込めたいものがすべてマリの死に関することを示しているのかもしれません。

13-14ページ目

肉のみ描かれたページに何か描き足されています。!マークにも見えるし、肉の上に描かれているのは頭がい骨とろっ骨だろうか。ブラックスペース2のろっ骨を思い出します。

ニャーゴの肉でないことを切に願う。ニャーゴきたころした。うまかったです。とかではありませんように。

15-16ページ目

白紙だったページにサニーとバジル、マリの姿のなにかが描かれています。マリが死んだあと2人で生きていこうとするサニーとバジルを、なにかがじっと見つめているかのよう。

17-18ページ目

サニーとバジルがぐちゃぐちゃに塗り潰され、恐ろしい姿のマリが描かれています。

これはバジルと友達でいるのをサニーは望んでいないことを指しているのではないでしょうか。実際サニーはバジルとの関係を断って引きこもっていました。

大切なマリを死なせて首吊りに見せかけた自分が、のうのうと親友と生きていて良いわけがない、という思いが込められているのかもしれません。

このスケッチブックがサニーの思い、こころの状態を表しているなら、殺されたマリがサニーとバジルに復讐したいという思いが表れた絵ではないと思います。

マリに復讐されたいというサニーの思いが表れている可能性はありそうです。自分は許される存在ではないからと。